babshoの将棋ブログ

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【追体験で上達する】攻めを繋ぐ技術(1)

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高段者の実戦を追体験して、強い人の考え方やテクニックを学んでいこう。

やみくもに棋譜を追いかけるのではなく、何かテーマを決めて閲覧することで確実に技術が身についていく。今回は「攻めを繋ぐ技術」というテーマで見ていきたい。

一局のうちポイントの局面を抜粋した問題形式になっている。観戦記のように気楽に読んでいただくだけでも効果があるが、意欲のある方は指し手を考えながら進んでいただくと、より棋力向上が期待できる。

追体験の教師(--tw--氏)

将棋倶楽部24の超強豪プレイヤー。

2021年7月現在、レーティング3212という脅威の点数を誇る。

手厚い攻めと受けはアマチュアにとって教科書となる将棋である。

 

追体験問題(全9問)

※本記事は--tw--氏ご本人の解説ではなく、ブログ主独自の考察である旨をご留意の上、読んでいただけますと幸いです。

問題1:戦機を捉える仕掛け

【問題図1:▽3ニ玉 まで】

矢倉戦で、後手が▽3ニ玉と入場した局面。先手が通常の矢倉なのに対して、後手は土井矢倉と呼ばれる構え。バランスは良いが上部に対する耐久力には不安がある。

このまま▲6八角と囲っても1局だが、土井矢倉の上部の薄さを捉えてこちらから仕掛ける手を考えてみよう。(3手)

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正解は▲4五歩▽同歩▲3五歩

【正解図1:▲3五歩 まで】

土井矢倉は通常の矢倉に比べて3筋が薄いため、3筋の歩も絡めて攻めていく。

▲3五歩を▽同歩なら▲同角と取っておき、3筋に歩を使えるようにしながら3六に銀を進出できるようになるため、攻めに厚みがでる。

 

問題2:厚み負けしない攻撃陣を築く

【問題図2:▽4四銀 まで】

正解図1から▽4四銀と対応した。

後手の守備駒の厚みに負けないよう、攻めの体制を築こう。

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正解は▲3六銀

【正解図2:▲3六銀 まで】

▲3六銀と攻め駒の銀を応援に繰り出すのが正解。

この手に替えて▲3四歩と取り込むのは、▽同金と取られて逆に後手の守備駒に厚みができてしまう。後手の守備陣に押し返されないように攻撃陣を築こう。

 

問題3:攻め駒の価値を見極める

【問題図3:▽3五歩 まで】

もし正解図2から▽3五歩とされたら、どう攻めていくか。

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正解は▲3五同角

【正解図3:▲3五同角】

角で取るのが正解。以下▽同銀▲同銀▽3六歩は▲2四歩で先手優勢。

▲3五同角に替えて▲3五同銀は▽3六歩で攻め駒を攻められ苦戦を強いられる。

一般的には角のほうが価値が高いが、この場合は3五に銀を進めることで2筋の薄さを突けるため、価値が高い手となる。

 

問題4:攻めをより厳しくする小技

【問題図4:▽8五歩 まで】

実戦は正解図2より▽6五歩▲同歩▽8五歩と進んだ。

本格的な戦いの前に、攻めの威力を高めるための小技を効かせたい。(3手)

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正解は▲2四歩▽同歩▲2ニ歩

【正解図4:▲2ニ歩 まで】

▲3四歩を取り込めば本格的な戦いになるが、その前に▲2ニ歩を効かせるのが大きなポイント。▽同玉でも▽同角でも先手の攻めの当たりがきつくなる。

 

問題5:軽い攻めと厚みのある攻めの違い

【問題図5:▽3三金 まで】

正解図4から▽同角▲3四歩▽同金▲3五歩▽3三金と進んだ。

▲4五銀と▲4五桂の2択だが、どちらで行くか。

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正解は▲4五銀

【正解図5:▲4五銀 まで】

▲4五桂も有力だが、▽2三金と寄られると4五に跳ねた桂がやや不安定。

▲4五銀が手厚い攻めで、次に▲3四歩の突き出しが厳しい狙いとなる。

※▲4五桂はスピードがある攻めだが、いわゆる「軽い攻め」である。逆に▲4五銀はスピードはないが確実な、いわゆる「厚みのある攻め」である。

 

問題6:攻め駒不足を解消する遊び駒の活用

【問題図6:▽4三金右 まで】

正解図5以下、後手は▽4三金右として▲3四歩に備えた。

攻め駒不足解消のために、遊び駒を活用しよう。

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正解は▲4六角

【正解図6:▲4六角 まで】

いきなり▲2五歩とあわせて攻める手もあるが、やや攻め駒不足の不安がある。より攻めを手厚くするために、遊び駒の角を活用するのが好手だ。

後手の指し手を制限する(銀と桂を動けなくする)だけでなく、▲7五歩と突いて歩を補充する手や、▲6四歩〜▲6三歩成のような攻めも見せている。

 

問題7:守り駒を剥がす攻め

【問題図7:▽4四金左 まで】

正解図6以下、▽4五銀▲同桂▽4四金左と進んだ。

守り駒を剥がすように攻めていこう。

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正解は▲3四銀

【正解図7:▲3四銀 まで】

守り駒を剥がす▲3四銀が単純ながら厳しい攻めだ。

 

問題8:受けの勝負手を未然に防ぐ

【問題図8:▽3四同金 まで】

正解図7より▽同金上▲同歩▽同金と進んだ。

少し前に活用した角を使って攻めたいところだが、その前に一工夫を。

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正解は▲4三歩

【正解図8:▲4三歩 まで】

▲4三歩が冷静な利かし。

▲4三歩を利かさずにいきなり▲5三桂成▽同銀▲7三角成と攻めると、▽4ニ飛と逃げる手が味が良い。

この▽4ニ飛を防いだのが▲4三歩で、もし▽4一歩と受けたら同じように▲5三桂成と攻めて良い。

尚、▲4三歩に▽4五金と桂を取るのは▲2四角▽4三玉▲4ニ角成で決まる。

 

問題9:敵陣への侵入を決める

【問題図9:▽4三同玉 まで】

正解図8以下、後手は▽4一歩ではなく▽4三同玉と対応した。

確実に攻めていこう。

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正解は▲5三金

【正解図9:▲5三金 まで】

▲5三金と打ち、以下▽3二玉▲6ニ金▽同飛▲5三桂成と進み、先手の攻めが決まった。以降は▽4三銀や▲7三角成を狙いにして先手良し。

玉まわりの陣形にはっきり差があり、先手が一方的に攻める展開となった。

 

今回の「攻めを繋ぐ技術」まとめ

  • 相手の守備陣に厚み負けしない攻撃陣を構築しよう。
  • 攻めに厚みを持たせたいなら、桂ではなく銀を押し上げる攻めをしよう。
  • 攻め駒不足解消のカギは遊び駒の活用。特に大駒は優先的に活用しよう。 

 

今回の題材棋譜